電力・エネルギー事業環境の変容と研究の概要

電力システム改革、再生可能エネルギー大量導入の下での、将来の電力需給プラットフォーム化を見据え、電力中央研究所(以下、当所)では配電システム分野を中心に、エネルギー事業者、アグリゲーター事業者などの多様なプレーヤーがそれぞれの目的・目標にかなった便益を獲得でき、全体最適を実現させる、次世代電力需給マネジメントの研究開発に取り組んでいる。

電力・エネルギー分野の事業環境は、電力システム改革、再生可能エネルギーの大量導入などで大きく変容しつつある。その中でも、配電部門を中心とする電力サプライチェーンの下流部門では、太陽光発電、ヒートポンプ給湯機、蓄電池、電気自動車などのいわゆる分散エネルギー資源(DER)の普及拡大とともに、エネルギー事業者やサービスプロバイダー、分散電源所有の消費者(プロシューマー)、仮想発電所(VPP)を運用するアグリゲーター事業者などの様々なプレーヤーが参加し、DERを活用しながら、多様な価値創造を競い合うことが想定される。 このような状況で、電気の品質や供給信頼性を維持しながら、各プレーヤーの参加を制約なく実現させるためには、これまでの電力システムを図に示すような「電力需給協調と情報のプラットフォーム」に進展させ、送配電事業者を含めた各プレ ーヤーの新たな協調関係を形成していくことが重要と考える。

将来の電力需給プラットフォーム化のイメージ

当所では、従来の配電システム分野を中心に、各プレーヤーがそれぞれの目的・目標にかなった便益を獲得でき、全体最適を実現させる、次世代電力需給マネジメントの研究開発に取り組んでいる。これは、将来の電力需給プラットフォーム化を見据えたもので、先行している海外事例を調査するとともに、コミュニティーやVPPの自律的な運用が配電系統に与える影響の評価、各々のプレーヤー同士がWin-Winの関係を構築できるようなDER、配電システム、コミュニティー、VPPなどを連携・協調させた電力需給マネジメント高度化技術などの研究を進めている。

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本コンテンツは、電気新聞連載寄稿「電力プラットフォームの将来(2018年7月・6回連載)」にて、ENICの取り組みを紹介した記事を加筆・修正したものです。

研究トピックス
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