ほこりモニタキット(HMK: Hokori Monitor Kit)を作ってみよう

家の中の色んな場所で測ってみたら分かった、ハンバーグを作るとこんなに…

図1 ほこりモニタキットの設置例

家の中のホコリや花粉など室内の微粒子が気になる人は多いと思います。ただ、家の「どこで」「どれだけ」「いつ」舞っているかを知るのは結構難しい。というのも、外から入ってくる微粒子と、家の中でできる微粒子がありますし、換気で出たり入ったり、人が動いたり、掃除したりといった活動でも変化するからです。

そこで、市販されている部品を組み合わせて、簡単に室内微粒子を計測できる装置を作成しました(図1、図2)。名前を「ほこりモニタキット」(HMKと略)としました。HMKを使うと、調理やベッドメーキング、洗濯の時に発生するホコリなどを測れます(図3、表1)。実際に使ってみた結果を資料1「住宅内での簡易な空気中微粒子計測IoTの可能性と課題」(PDFファイル813kb)に詳しく記しました。

ハンバーグや中華料理など油の跳ねる料理をすると、大量の微粒子(オイルミストなど)が生まれて、部屋中に広がるのが分かります。換気扇を回したり、窓を開けたりすると、微粒子がどんどん減るのがセンサの反応でわかり、換気を終わらせるタイミングを知ることができます。布団をはたくと短い時間ほこりが舞って、すぐに落ち着く様子も分かります。

今回、HMKの作成方法を公開しました。詳しくは資料2「ほこりモニタキットの作り方」をお読み下さい。以下がHMKの特徴です。

  • ほこりセンサを複数使うと、家のどこに室内微粒子が多いかわかります。
  • ほこりセンサは小さな表示窓に10秒おきに計測値を表示するため、家事などによる変化をその場で知ることができます。
  • 低コストな部品で構成したため、計測箇所を増やすのが比較的容易です。

HMKの作成は、多少のIT知識があれば可能です。誤計測への対策など公開した資料(資料1,資料2)を参考に、実際にHMKを作って、みなさんの家庭で計測にチャレンジしてみてください。

(a)HMKの全体構成

(b)ほこりセンサの構造

図2 ほこりモニタキット(HMK)

(a)調理時の計測例

地点1ではガスコンロのある部屋に設置されいて、調理開始と同時に100 個/cm3を超える値を計測しています。窓を開けて換気したので急速に計測値が減っています。地点2は洗面所、地点3はベッドルームで、いずれも別の部屋ですが、ドアの隙間を通って微粒子が広がっています。ベッドルームは窓を開けて換気したので地点3では、急速に計測値が下がっていますが、地点2は窓から遠く、24時間換気しか無いため計測値の低下速度が遅いのがわかります。なおセンサの計測限界は28個/cm3程度ですので、それを超える値は精度保証が無い点に留意下さい。

(b) センサの配置図

図3 調理時の室内微粒子発生を計測した例
表1 HMKを使って計測できた例
関連する生活行動 検知されるタイミング 微粒子発生状況の特徴
調理 調理開始から、換気によりオイルミスト等が室外に排出されるまで
  • 大量(20~100個/cm3)に発生する
  • 調理の中身で発生量が大きく違う。油が跳ねる料理や、焦げ・煙の出る料理で大量発生
  • 調理発生と同時に部屋中に広がり、ドアの隙間を通して別の部屋にまで一瞬で広がる
  • 窓開けなど換気のやり方で、無くなるまでの時間が大きく異なる(数時間かかることもある)
  • オイルミストや煙など
洗濯 衣類を洗濯機に入れてから、洗濯終了後に取り出し、衣類乾燥機に出し入れする時まで
  • そこそこ多い(10~30個/cm3
  • 衣類の移動や、脱水時の振動に応じて3~4回の発生のピークが立つ
  • 平常値に落ち着くまで30分~1時間ほどかかる
  • 綿ほこりなど衣類に付着した微粒子が主成分と考えられる
ベッドメーキング 布団を叩いたり、寝具を整えたりした後
  • 少量(10個/cm3程度)の小さなピーク
  • 部屋中で同時に発生するが、他の部屋には及ばない
  • 10分以内におさまる
  • 綿ほこりなど
掃除 センサ付近を掃除した後
  • 掃除による変化は小さく、掃除が原因と分かる事例は希少
  • センサ近辺の掃除時に少量検出する(5~10個/cm3
研究トピックス
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